上生菓子『天の川』

完成した天の川2 上生菓子

こんにちは、和菓子屋のあんまです。

今回は上生菓子『天の川』をご紹介します。

上生菓子

上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。

今回の『天の川』は練切(ねりきり)製です。

練切(ねりきり

練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。

白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。


『天の川』

七夕の時によく連想される天の川。
夜空をみたときにたくさんの星が帯状に集まってみえる光の川が”天の川”になります。


〇七夕と天の川

七夕と天の川は深いつながりがあります。

天の川の伝説として有名なのは、織姫と彦星のお話です。

簡単に説明しますと、織姫(織物の女神)と彦星(牛飼いの青年)は、天帝(織姫の父)により結婚を許されます。
しかし、二人が恋に夢中になり仕事を怠けたため、天の川の両岸に引き離されます。
天帝の許しを得て、年に1度だけ、7月7日(七夕)の夜に会うことが許される

このような話になります。

ほかにも、織姫をベガ、彦星をアルタイルに見立てて隔てているという見方もあります。

そのほか、七夕の節句に関する記事はこちらから。

7月7日は日本の多くで梅雨に入っていることも多く、天の川を拝める機会は少ないかもしれませんがみることができればステキな体験になりますよね!


天の川はこのようなものになります。

天の川

このきらびやかな雰囲気を上生菓子で表現していきます。


では『天の川』を練切で作っていきます。

まず今回は2色の練切を使います。
淡い紫色と淡いピンク色です。淡いピンク色は本当に淡く着色します。

天の川の紫練切
天の川のピンク練切

紫とピンクの割合は2:1で切っていきます。

種を切った天の川の練切

中餡は黄味餡です。
ヘラ入れをするため中餡は薄めの色を選んでいます。

天の川の中餡

紫の練切とピンクの練切を伸ばして、

天の川の紫の練切を伸ばす
天の川のピンクの練切を伸ばす

貼りボカシをします。ピンクから紫へ。

天の川の練切を貼りボカシする1
天の川の練切を貼りボカシする2

中餡を包餡(あんこを包むこと)します。

天の川の中餡を包餡する

きれいに表面がぼけた状態で包餡できました。

キレイに表面がぼけた天の川
キレイに表面がぼけた天の川2

次にこの練切を平板に打ちつけて表面を平らにしていきます。

平板に打ち付けた天の川

周りの出ている部分を揉み上げていきます。

周りを揉み上げた天の川

きれいになりました。

ここに三角ベラで線を2本入れます。
こちら側からと、

片方から線を入れた天の川

もう反対側からと。

反対側からも線を入れた天の川

このとき、紫色が上に、ピンク色が下になるように配置します。
また、この線は天の川をイメージしていれており、全部にズバッと線が入らないのは天の川を途切れないように表現しています。


次に天の川のキラキラした感じを表現するために氷餅を使っていきます。
氷餅とは、餅を冷やして乾燥させたもので、状態変化したものを指します。

均一な粉になるようにふるいにかけます。

ふるいにかける氷餅

このように砕かれました。

均一に砕かれた氷餅

天の川の線と線の間にパラパラとかけていきます。

氷餅をかけた天の川

最後に左上に金箔をちょんと乗せまして、

左上に金箔を乗せた天の川

完成です。

完成した天の川
完成した天の川2

今回は練切で『天の川』を作りました。

七夕の節句にちなんで作りましたが、ここ数年には作ったことのない図案のお菓子になりました。
毎年くる行事ですが、毎年作りを変えていきたいと思います。

他にも七夕の節句にちなんだ上生菓子を作っていますので、ぜひご覧になってください。



ぜひお抹茶や煎茶と一緒に季節を感じながら、ホッと一息。どうぞ召し上がってください。


そんな私の作るお菓子が食べられるお店は富山県南砺市にある朝山精華堂というお店になります。
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