こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子『短冊』をご紹介します。
上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。
今回の『短冊』は練切(ねりきり)製です。
練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。
白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。
『短冊』
細長い長方形の紙のことを指します。
使用用途にもよりますが、七夕に使われる短冊が一番イメージありますよね。
今回の上生菓子『短冊』も七夕の節句にちなんで作ってみました。
七夕の節句に関する記事はこちらから。
〇七夕の短冊
由来・意味
七夕は、織姫と彦星の伝説に由来する日本の伝統行事で、7月7日に行われます。この日、人々は笹の葉に「願い事を書いた短冊」を飾り、願いが天に届くよう祈ります。
〇短冊の意味
短冊の色と意味(五色)
中国の陰陽五行説に基づき、五色の短冊が使われることが多い。
色 | 意味・象徴 |
---|---|
青(緑) | 木:成長・徳・学問 |
赤 | 火:感情・愛・礼 |
黄 | 土:信頼・友情・誠実 |
白 | 金:正義・純粋・義 |
黒(紫) | 水:知識・忍耐・冷静 |
※ 現代では紫を使うことも多いです。
色によって意味が違っていたのですね!
なんとなく黄色やピンクでカラフルなイメージがありました。
さあ、そんな七夕の節句にちなんだ上生菓子『短冊』を作って、七夕の風情を味わいましょう。
練切を緑色に着色していきます。
ここの緑色は笹の葉をイメージして着色していきます。

中餡は黒餡にします。
今回は巻き仕上げという仕上げ方をしますので、中餡はどのような色味でも構いませんが、黒餡を使うことでしまってみえます。

巻き仕上げのために中餡は俵型にして芯にします。


緑色の練切を切って、手で長めに伸ばしていきます。


この伸ばした練切を”千筋板”に打ち付けます。
千筋板で線を付けることで笹の葉の葉脈を表していきます。


きれいに剥がしていきます。

裏返して、先ほど切った黒餡を下に置きます。

巻いていきます。
表面の線の筋を消えないように気を付けて巻きます。


笹の葉のイメージが湧きましたでしょうか?
次に短冊をこの練切の上に乗せていきます。
まずは練切を黄色とピンク色に着色します。これが短冊になります。


まずは黄色から。
棒を使って薄く伸ばしていきます。

そして今回は短冊を針で抜いていきたいと思います。
まず抜き枠ですが、このような”渋皮”という紙を使ってかたどったものをあてがって抜いていきます。
渋皮は防腐、防水の効果があるので、和菓子の型抜きにはぴったりの紙です!

針はこのような細いものを使います。
自分で使いやすいようにアレンジしています。

このようにあてがって抜いていきます。

抜いた黄色の練切を上生の上に置いていきます。
紐で結ぶための穴は爪楊枝の丸いところを使ってあけていきます。


ピンクの練切も同様にやっていきます。

このように配置します。

少しもの寂しいので紐でつり下がっているようにみせていきます。
マジパン用の先の鋭いものを使って線を書き足していきます。

スーッといれます。

向きをそろえて、完成です。


今回は練切で『短冊』を作りました。
花や生き物だけではなく、『七夕の節句』のような季節の行事にちなんだものも表すことができます。
その場合も上生菓子の小さなキャンパスにしっかり表現できるように図案をしっかりと練って作りたいですね。
ぜひお抹茶や煎茶と一緒に季節を感じながら、ホッと一息。どうぞ召し上がってください。
そんな私の作るお菓子が食べられるお店は富山県南砺市にある朝山精華堂というお店になります。
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