こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子の『月うさぎ』をご紹介します。
お月見にちなんだ 上生菓子『月うさぎ』の愛らしさに胸キュン
秋の夜空が澄み渡る季節。夜空を見上げて、お月様の模様をじーっと見つめたこと、皆さんもありますよね? 日本では昔から、あの模様は「うさぎが餅つきをしている姿」だと考えられてきました。
丸い月の中で、せっせと杵を振るううさぎ。想像するだけで、なんとも可愛らしくて、心が和みます。今回は、そんな日本のロマンを形にした、上生菓子の練切を作ってみました!
練切で表現するうさぎの「ふわふわ感」
この『月うさぎ』は、練切を使いうさぎの形を表現してみました。
まず、体全体の色は、うさぎにちなんだ白色の練切です。うさぎですから、まるいボディーをイメージして、安定感と愛らしさが出るようにこだわりました。
そして、このお菓子の最大のチャームポイントは、顔と耳です。
練切に棒で押すことでピンと立った長い耳を表現しました。この耳が、うさぎらしい素朴な可愛らしさを強調してくれます。目は羊羹を絞って、赤いの点を付けて、ぼんやりとした愛らしい表情に仕上げました。
尻尾も、ごく小さな丸い練切で表現。このちょこんとした尻尾があるおかげで、後ろ姿もうさぎらしく可愛らしい仕上がりになります。練切は、こんな風に自由に形を作れるのが本当に楽しいんです。
黄味あんのまろやかさが、月夜の温もり
札にある通り、この『月うさぎ』の中身は黄味あんを使いました。
満月のような見た目と、黄身あんの持つまろやかでコクのある甘さの相性は抜群! 控えめな甘さの中に、黄身の持つ素朴な温かさが加わることで、秋の夜長にゆっくりと味わうのにぴったりの、心安らぐ味になるんです。優しくて、ホッとする甘さを表現しました。

昔ながらの物語を楽しむ「ひととき」
月うさぎの物語は、古くから日本人に愛されてきました。この和菓子をいただくことは、そんな日本の美しい文化を味わうことでもあります。
この『月うさぎ』をいただくときは、ぜひ、温かいお抹茶や、秋の香りが高いほうじ茶などと合わせてみてください。
この可愛い姿を眺めながら、「今頃お月様の中では、一生懸命お餅を搗いているのかな?」なんて想像を膨らませる。皆さんも、この『月うさぎ』で、心温まる物語のような「ひととき」を過ごしてくださいね。

