上生菓子『朝顔』

完成した朝顔の上生2 上生菓子

こんにちは、和菓子屋のあんまです。

今回は上生菓子『朝顔』をご紹介します。

上生菓子

上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。

今回の『朝顔』は練切(ねりきり)製です。

練切(ねりきり

練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。

白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。


『朝顔』

これから梅雨があけて夏が来るとたくさん咲いてくる花ですね。
小学生が夏休みの宿題で家で朝顔を育てて観察をして絵日記にまとめるイメージが一番強いですよね。
そんな朝顔の花についてまずは深堀りしてみましょう。


朝顔の基本情報

朝顔は夏を代表する植物であり、日本の夏の風物詩として古くから親しまれています。鮮やかな花が朝早くに咲き、昼にはしぼんでしまう一日花です。


〇朝顔の特徴

  • 植物の種類:ヒルガオ科サツマイモ属の一年草のつる性植物です。
  • つる性:つるを伸ばして成長するため、グリーンカーテンとして利用されることも多いです。つるは右巻きに巻きつく性質があります。
  • :葉はハート型で、品種によっては深い切れ込みが入るものもあります。
  • :筒状の花で、咲き方は一重咲きが一般的ですが、八重咲きやフリル咲きなどもあります。色は青、紫、ピンク、白、赤、絞り柄など非常に豊富です。
  • 開花時期:一般的には7月から9月頃にかけて咲きます。西洋朝顔は日本朝顔よりも開花時期が遅く、8月から11月頃まで咲くこともあります。
  • 一日花:朝に開花し、昼過ぎにはしぼんでしまうのが特徴です。しかし、次々と新しい花を咲かせるため、夏の間中楽しむことができます。

サツマイモ属ということで、なんとなくサツマイモのつるに似ている感じはしますよね!


〇品種と歴史

朝顔の品種は1600種類以上ともいわれており、3つの種類に分類されるともいわれています。

日本朝顔:古くから日本で栽培されてきた系統で、花の色や形が多様です。

西洋朝顔:日本朝顔よりもつるがよく伸び、花が大きめなのが特徴です。「ヘブンリーブルー」などが有名です。

変化朝顔:江戸時代に品種改良によって生まれた、花や葉の形が通常とは異なるユニークな朝顔です。江戸時代には2度の大ブームが起こり、様々な品種が作り出されました。

また朝顔の歴史としては、奈良時代に中国から薬用植物として伝来しました。当時は、種子が「牽牛子(けんごし)」と呼ばれ、下剤として使われていました。平安時代になると観賞用としても栽培されるようになり、江戸時代には園芸文化の発達とともに、品種改良が盛んに行われ、庶民の間でもブームとなりました。


朝顔はこのような花になります。

朝顔の写真

青くて鮮やかな朝顔ですが、今回はピンク色の朝顔を作りたいと思います。


では『朝顔』を練切で作っていきます。

まずはベースとなる色のピンク色を着色します。
中心の白色との色の違いを出すためにもピンクとわかる色にします。

朝顔のピンク練切

中あんは黄味餡を使います。卵アレルギーの方には配慮が必要なので明記しておく必要があります。

朝顔の中餡の黄味餡

ピンクの練切の中心に白い練切を配置してぼかしてます。

朝顔のピンクの練切に白の練切を配置

中あんを包餡(あんこを包むこと)していきます。

朝顔の中餡を包餡

このように包みあがりました。

表面が白にぼけた状態の朝顔の練切

写真では見えにくいですが白くぼけています。


次に平板を使って表面を平らにしていきます。

平板

ぼかした白い部分が平らな面の中心にくるように意識して打ちつけます。

平板に打ちつけた朝顔の練切
平板に打ちつけた朝顔の練切

まわりの部分をもみあげていきます。

まわりを揉み上げた朝顔の練切
まわりを揉み上げた朝顔の練切2

次に朝顔のラッパのような形を表現するために中心をグッと押し込みます。
かたく絞った濡れ布巾を練切の上にかけて、

朝顔の練切の上にかたく絞った寝れ布巾を敷く

箸で中心を押していきます。このときにまわりの寝れ布巾を軽く引っ張ってあげて、布巾のあとが表面につかないようにします。

朝顔の練切の中心を箸で押す
朝顔の練切の中心を箸で押したあと

ここからは朝顔の花びらを表現するために計量スプーンを使います。

朝顔の花びらを表現するための計量スプーン

この丸みのある部分を使って、5カ所にあとをつけていきます。
この時にきれいに5等分になるように意識してあとをつけていきます。

計量スプーンであとをつける

このようなあとがつきました。

花びらのあとのついた朝顔の上生
花びらのあとのついた朝顔の上生2

最後に朝顔の特徴的なつるを表現するために羊羹を絞ります。

羊羹を絞るためにセパレート紙を使って絞りを作ります。

セパレート紙で作った絞り

ここに緑色に練り上げた羊羹を入れて、

緑色に練り上げた羊羹
緑色の羊羹を入れた絞り

朝顔の練切につるをイメージしながら絞っていきます。

緑の羊羹を絞った朝顔の練切

完成です。

完成した朝顔の上生
完成した朝顔の上生2

今回は練切で『朝顔』を作りました。

朝顔も和菓子の世界ではよく使われる題材でして、上生菓子ひとつにとっても表現の仕方はたくさんあります。
今回表現した平板でうつ方法はきれいに5等分して花びらを表現できれば、とってもきれいに仕上がるので個人的には好きな表現方法の一つです。
そのほかにも夏のお菓子なので、錦玉や葛を使っての表現もしてみたいですね。

また今回は練切でつくりました。練切はお茶と合うので、
ぜひお抹茶や煎茶と一緒に季節を感じながら、ホッと一息。どうぞ召し上がってください。


そんな私の作るお菓子が食べられるお店は富山県南砺市にある朝山精華堂というお店になります。
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