和菓子。をイメージしたときみなさんは何を思い浮かべますか?
好きな和菓子を思い浮かべますよね~
いちご大福かな?どら焼きかな?羊羹かな?
蒸したてのお饅頭なんかも捨てがたいですよね!
そんな和菓子に使われる材料の中で、ほとんどに使われる材料。
それはあんこ(餡)。
生のあんこの量に対しての砂糖の量や仕上げ方、使用用途によって様々な餡子が練り上げられて、あんこの出来によってその和菓子屋さんの美味しさが決まるといっても過言ではないと思います。
そんなあんこですが、基本は小豆(あずき)と砂糖でできています。
和菓子の基礎・あんこ。
今回はその大元、小豆にスポットをあてて詳しく掘り下げてみたいと思います。
〇小豆
小豆(あずき)とは、主に日本や東アジアで広く利用されているマメ科の植物、またはその種子(豆)のことを指します。
〇小豆(あずき)とは?
1. 植物としての小豆
・学名:Vigna angularis
・分類:マメ科ササゲ属
・原産地:東アジア(中国説や日本原産説などがある)
・特徴:つる性の一年草
夏に黄色い花を咲かせ、秋にさや状の実がなります。
2. 食材としての小豆
・色:赤褐色〜赤紫色の小さな豆
・味:ほのかな甘味と香ばしさ。煮るとやわらかくなり、皮が割れやすい。
・用途:和菓子:あんこ(粒あん・こしあん)の原料として最も一般的。
赤飯:もち米と一緒に炊いて、お祝いごとの料理に。
ぜんざい・おしるこ:煮た小豆を甘く味付けした伝統的な甘味。
日本や東アジアが原産なんですね~
和菓子は古くから日本で作られてきた伝統的なお菓子のことを指すので、日本原産のようなものではないと使いようがないですよね。
つる性の一年草。一度その畑に植えて育てると3~4年は間隔を空けてから、植えないと育たないと聞いたこともある繊細な植物かと思います。
かというと、「昔は田んぼの畔に小豆植えてたけどね~。」なんてことも聞いたこともあるので、どこでも育てやすいのかな?とも思ったり。一度育ててみたいものです。
実際、自社で使ってる小豆をみてみましょう。こんな感じ。

このような小豆になるまでにはもちろんいくつかの過程があります。
では、実際小豆の育つ過程を少し見てみましょうか。
まずは小豆を植えます。実はこの乾燥した状態の小豆そのものが小豆の種になります。
育てたことはありませんが、

これが小豆の苗。
素人の見た目では、ごく一般的な?青々とした苗に見えますね。
本州では5月末ごろから育てても十分実(小豆)をつけられるとのことなので、この苗くらいになるころは、6月の半ば頃ではないでしょうか。
こちらが小豆の花。

かわいらしい!!
小さい花ですが、黄色みを帯びた白いはなでしょうか。
小豆自体をそだてることがなかなかないので、このような花をみることも少ないですよね。
とっても貴重。しかも、7月の下旬から8月上旬ごろにみれるかもしれないので、真夏に咲いてくれるんですね。
そして実をつけます。品種にもよりますが、8月中旬から9月上旬ごろ。

青々とした鞘が段々と乾燥してこのような褐色した色になっていきます。
乾燥しきってカラカラと音が鳴ると良し!
きれいな小豆が取れるというわけですね~。
育ててみたくなってきた!
和菓子屋として、食べ物としての側面からも小豆をみてみましょう。
昔から小豆はとっても大切に取り扱うように!一粒も無駄にしないように!と教わって仕事をしてきました。それは小豆農家さんの大変さや小豆の希少価値が高いからで、無駄なく全部使うことの大切さを小豆からいつも感じています。
煮るとやわからくなり、割れやすいとあります。
実際、小豆を似炊いてあんこを作るので、そちらの話はまた今度。
ただ、皮が破けずに慎重に炊いていくこともしばしばあるので、小豆の皮の割れやすさとの勝負は確かにあります。
あんことしては、粒あん、こしあんと分けられます。
みなさんはどちらのあんこが好きですか?
好きな和菓子の種類によって好きなあんこのタイプも違ってくるかと思いますが、
あくまで僕個人の感覚だと粒あんのほうがおいしい!と感じます。
作物の美味しい部分は身(中身)と皮の間に詰まってるとよく聞いたりしませんでしょうか?
小豆も同じだと思っております。
粒あんは小豆をそのまま使って作ります。
こしあんは小豆の中身の部分を濾しだして、皮の部分を取り除いたものになるので、濾しだした時に、皮一緒に美味しい部分が取り除かれている可能性があります。
その点、粒あんは小豆の美味しさそのもの!という感じがしますよね。
もちろん、こしあんのサラサラとして滑らかな感じも舌触りがよくて、とっても美味しいです。
結論、和菓子の種類によってより良く合うあんこがあるということですね!
(こしあんが好きな方、粒あんが苦手な方の中には、粒あんの皮が苦手という方もおられますよね。気持ちわかります。)
あんこにはもう一つ。黒あん、白あん。という分け方もありますよね。
黒あんは文字通り、黒いあんこ。主に小豆からできるあんこのことを指します。
白あんは何からできるのでしょうか。
白あんは主な原料は白いんげん豆(手亡豆)で、また小豆とは異なる種類になります。
白いあんこを練るためには、それは白い豆でないといけませんよね。
白いんげん豆の炊き方、白あんの作り方についてはまた別の機会に。
小豆は赤飯の中に使われることもしばしばです。
赤飯に関しては正直、地域によって使われる豆の種類が違ってきます。
小豆を使う地域もあれば、ささげを使う地域もあります。
僕の住んでいる地域では小豆を使っていて、赤飯の赤色を出すためにも小豆を似て、赤色の色素を出しています。
地域や文化によっても使う用途が変わるのが日本の文化の面白いところですよね。
他の地域のいわゆる和菓子を食べることはあっても、赤飯を食べることは少ないので、積極的に食べてみるのも面白いかもしれませんね。
ぜんざいやおしるこで水分量が多い状態で食べることもありますよね。
小豆の甘さ(糖の甘さ)を感じるには、水分量が多いほうが甘く感じるといいます。糖の甘さが水分に溶け出していたり、食べるときに温めることでより甘さを感じやすくなるからなどの理由があります。
乾燥させたあんこを使用した和菓子もたくさんありますがなんとなくイメージとして強く甘みを感じない気がしますね。
人間の味覚は不思議なものです。
小豆の主な産地には、北海道の十勝地方や兵庫の丹波、京都の丹後といった地域が有名です。
私は毎年北海道産の小豆を使わせてもらってます。
北海道の十勝地方は足を運んだこともあり、夏でもとってもひんやりしています。
そのおかげで害虫が少なかったり、北海道の広い土地で大量に生産できるのも良い点なのしれません。
小豆も生きてますから、その年その年で品質が違ってきます。気温や日照時間、雨の大小で生育にも違いがでるように、目では見えない部分での違いもあります。
ですので、いただいた豆が何年に作られたか(使う年から何年前のものか)も加味して、小豆を似炊いたり気を付けていたりしています。
一定の味を作るためには必要なことですね!
さて、今回は小豆にスポットを当てて掘り下げてみました。
小豆は和菓子の基本で大元ながら、育てるのは大変でとても貴重だということがわかりました。
いつでもあんこが食べられるのに、各々の店のこだわりが出る。そんな日本は本当にいい国なのでしょう。
これからも小豆に感謝して、和菓子と向きあっていきたいですね!
そしてまた別の機会で私の小豆の煮炊き方をご紹介します。
そんな私の作るお菓子が食べられるお店は富山県南砺市にある朝山精華堂というお店になります。
朝山精華堂オンラインショップはこちらから。
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