こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は和菓子の上用饅頭(薯蕷饅頭)のあんこを炊いてみました。
私は商品によってあんこの配合や按配を変えて炊きます。
上用饅頭も上用饅頭の生地やおいしさに合わせて炊きますので、今回はその工程や流れをご紹介したいと思います。
まずは上用饅頭の説明から。
上用饅頭(じょうようまんじゅう)は、日本の伝統的な和菓子の一種です。
主な特徴と名前の由来
- 生地の材料:
- 本来は薯蕷(じょうよ)饅頭と書き、大和芋、山芋、つくね芋などの”山芋類(薯蕷芋)”をすりおろしたものに、米粉(上用粉など)や砂糖を混ぜて練った生地で餡(あん)を包み、蒸し上げた饅頭です。
- 山芋の粘りの力だけで生地がふっくらと仕上がるのが特徴で、きめ細かくしっとりとした上品な食感になります。
- 名前の由来:
- 「上用」という言葉は、「上に用いる」という意味から、昔、砂糖や小豆が貴重だった時代に身分の高い人へ献上する(贈答用にする)菓子として使われたことに由来すると言われています。
- また、米粉の中でもきめ細かく上質な上用粉を使うことから「上用饅頭」と呼ばれることもあります。
山芋類を使うので、生地の按配や蒸し上げ方が難しいお菓子のひとつで、とても気を張ります。
また、名前の通り上質なお菓子になりますのであんこもそれに相応しい仕上がりにしたく思います。
ではさっそく上用饅頭のあんこを炊いていきます。
まずは、サワリに適量の水と砂糖を加えます。
今回は蒸気の製餡窯を使って炊きます。
砂糖は白双糖を使います。あまり精製されてない砂糖になりますので、炊きあがったあんこの甘さに丸みを感じることができます。

火を入れて砂糖をしっかりと溶かしていきます。

ここに黒のこし生あんを加えます。
当店の上用饅頭は黒のこしあんで作っていて、このこし生あんはあんこ屋さんからとっています。


熱を加えながら炊いていきます。

仕上がりに水あめを加えます。
正確には水あめよりも柔らかい液糖状のもので、あんこの安定性と渇き止めを主な目的として加えます。

オーソドックスなこし並餡は水あめを加えないことも多いですが、当店の上用饅頭はしっとりとしたあんこを出すために水あめを加えることで差別化しています。
その分、糖度があがってきますので、炊きあがりには注意が必要です。
糖度や炊きあがりの按配を確認して、あげていきます。

完成です。
熱が抜けたら乾かないようにビニールをかけて保存しておきます。

今回は上用饅頭のあんこを炊いてみました。
水あめ(液糖)を加えて安定性をもったあんこに仕上げていますが、オーソドックスなあんこの仕上げ方に近いかもしれません。
季節や気候に合わせて炊きあがりは多少変わりますが、毎回同じ按配で炊き上げられるようにしたいですね!