こんにちは、和菓子屋のあんまです。
朝山精華堂の代表銘菓、「千代の梅」。
実は屋号の前に「千代の梅本舗」という文言もついています。
今回はそんな「千代の梅」について詳しく説明します。
そして「千代の梅」も作ってみましたのでそちらもどうぞ。
〇千代の梅
「千代の梅」は、朝山精華堂の代表銘菓ですが、元々は南砺市福野(旧福野町)のお菓子でした。
その昔、まだ福野町が加賀藩だったころ。加賀藩の前田家に各地域から様々なものが献上されていました。
その頃の福野では現在の「千代の梅」がお菓子として献上されており、時の加賀藩のお姫様になぞられて、「千代の梅」と名付けられたそうです。※諸説あります。
その「千代の梅」の作り方は、朝山精華堂(朝山家)には嘉永年間に伝わったとされ、その時期が朝山精華堂のお菓子屋としての創業となります。
加賀藩に献上していた頃は、福野町からの献上品ということで福野の各家々で作られていましたが、作る家々の減少や飢饉や飢餓の影響などでそのうちに朝山精華堂に一本化されていったそうです。
このことから、「千代の梅」は朝山精華堂の創業当時からのお菓子でもあり、福野町としてのお菓子でもある、とても歴史のあるお菓子です。
また、加賀藩への献上銘菓でもありますが、明治天皇へも献上されたお菓子になります。
冠婚葬祭やご贈答など広くお祝いの席に用いることができます。
それでは作り方と一緒にどのようなお菓子なのか説明していきます。
「千代の梅」は求肥を使ったお菓子になります。
牛皮粉を用意して、ふるいます。


ボールに牛皮粉をいれて、分量の水で混ぜ合わせていきます。
粉ダマがないように気を付けて混ぜていきます。

ここに赤色で着色します。
「千代の梅」なので梅の花をイメージして赤く着色していきます。

濡らした布巾の上に流して蒸していきます。

按配は砂糖を加えます。
通常の求肥よりも砂糖の割合は多いです。理由は後ほど。

牛皮生地が蒸しあがりました。

さわりにいれて火をかけて、練っていきます。
その時にさきほどふるった砂糖を少しずつ加えていきます。

砂糖がしっかり混ざったら、水飴を加えます。
見てわかるように甘みが増えていきます。

水飴も混ざりきったら、しっかりと熱を加えていきます。
焦げないように気を付けます。

熱が入った状態で片栗粉の引いた折の上に生地を落とします。

包丁である程度の分量に切り分けます。

ここからは手作業になります。
「千代の梅」はこの赤い求肥の生地で有平糖の飴を包むお菓子で、1箱に小さな「千代の梅」が15粒入っているお菓子です。
ですので、まずは有平糖を求肥で包み、丸く成形します。
この時包む有平糖はこのようなものです。

千代の梅よりもさらに小さいものです。
有平糖は砂糖、水、水飴を煮立たせて140度までもっていき、冷やし固めながら飴にしていくもので、砂糖の塊といっても過言ではありません。
ですので、求肥の砂糖の割合が多いのも、有平糖の砂糖の量が多いためです。
この有平糖を芯にして、包んでいきます。

あら、かわいい!
全て包み終わったら詰めていきます。

袋に入れていきます。
袋には高浜虚子が「千代の梅」を詠った句が書いてあります。

千代の梅の説明が書いてあるしおりと黒文字を添えて、


箱に詰めたら完成です!ちなみにこの箱の紅白は味が違うのではなく、箱の色だけが違うので、どちらも中身は同じものになります。

今回は当店の代表銘菓「千代の梅」を作りました。
今回、文字起こしする過程で、「千代の梅」についてたくさん調べる機会があり、私自身も初めて知ったことがたくさんあり、改めて勉強するいい機会となりました。
また。牛皮粉、水、砂糖、水飴という至ってシンプルな配合で作られている「千代の梅」は、昔からある材料で作られているから、昔からあるという証明にもなったかと思います。
これからもこの代々作られてきたお菓子を大切に受け継いでいきたいと思います。
甘みは強く感じられるお菓子となっていますので、
ぜひお抹茶や煎茶と一緒に、ホッと一息。どうぞ召し上がってください。
そんな「千代の梅」は朝山精華堂のオンラインショップから購入することができます。
千代の梅の購入ページはこちら。
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