上生菓子に必須!練切を炊いてみた。

炊きあがった練切の熱を逃がす あんこ

こんにちは、和菓子屋のあんまです。

今回は上生菓子によく用いられる「練切」と呼ばれるあんこを炊いてみました!
あんこの中でも特徴的なあんこの一つで、仕上げの按配が難しいあんこの一つです。
季節や天候、湿度でも炊き上がりが変わってくるので、その時々に合わせて炊く技術が求められます。

当店の練切は当店なりのこだわりもあるのでぜひ一つ参考にしてみてください。


練切(ねりきり)とは何か?

練切は、一言で言えば「白餡(しろあん)に『つなぎ』を加えて練り上げたもの」を指します。
単なる餡(あん)だけでは、形を作ろうとしても崩れたり、表面が乾いてひび割れたりしてしまいます。そこに粘り気のある「つなぎ」を加えることで、粘土のように自由自在に成形できるようになります。

1. 主な原材料

  • 白餡: 手亡豆(てぼうまめ)などの白いインゲン豆を炊いて作ります。
  • つなぎ: 一般的には「求肥(ぎゅうひ)」、あるいは「つくね芋(大和芋)」などが使われます。
  • 砂糖: 上品な甘さを出すために欠かせません。

2. 「練切」という名前の由来

材料を鍋に入れ、火にかけながらヘラで「練りながら、水分を切り飛ばしていく」工程から、その名がついたと言われています。
この「練る」作業が非常に重要で、職人の技術によって、あの独特のしっとりとなめらかな口当たりが生まれます。


練切の魅力:表現の多様性

練切が「上生菓子」の代名詞とされる理由は、その圧倒的な表現力にあります。

  • 色彩の魔法: 真っ白な練切に、食用の色素でほんのりと淡い色や、鮮やかな色を差します。グラデーション(ぼかし)を効かせることで、季節の移ろいを一塊のお菓子の中に閉じ込めます。
  • 道具による造形: 指先だけでなく、「三角ベラ」という木のヘラや、細い糸を張った「筋入れ」、「そぼろ通し(ふるい)」などの専用道具を駆使して、花びらや動物、季節の情景を形作ります。
  • 季節の写し鏡: 春は桜、夏は朝顔、秋は紅葉、冬は雪……。といったように、その時期にしか会えない「旬」を形にするのが練切の真骨頂です。

練切を炊いてみた!

では、練切を炊いてみましょう!
前述したように「練りながら、水分を切り飛ばしていく」工程と「つなぎ」が重要になってきます。

まずはあんこを練っていく前に「つなぎ」の部分を作ります。

当店のつなぎには「求肥(倍割求肥)」と「丸芋」を使います。

倍割求肥に関しては以前の記事で作り方を載せていますのでこちらを参考にしてください。

丸芋に関しては加賀の丸芋を使っています。

このようなものです。

丸芋

芋自体も粘りがあるので練切を炊くうえでの重要な「つなぎ」になるのですが、求肥に比べると粘りが弱いです。
ただ、芋独特の風味が追加されるので炊きあがった練切がより一層おいしく炊きあがるため、私は入れています。
割合としたら、売割求肥9:丸芋1 くらいの割合でしょうか。

表面を洗い、皮をむきます。

皮をむいた丸芋

歯の細かいおろし金を使って優しくすりおろしていきます。

おろし金
すりおろされた丸芋

夏場に取れた丸芋は水分が多粘り気が少ないので炊き込むときには割合を変えるなどの注意は必要です。

すりおろされた丸芋

では、あんこを炊いていきます。

鍋に水を砂糖を加えて熱を入れて、砂糖をしっかりと溶かしていきます。

水に砂糖を加える
加熱して砂糖を溶かす

白生餡を加えて炊いていきます。

袋に入っている白生餡
白生餡を加えて炊いていく

練切を炊く際に気を付けるポイントとしては、早いうちに副材料(倍割求肥や丸芋など)を加えないことです!
「練りながら、水分を切り飛ばしていく」ことが大事なので、いかに効率よく、按配を整えながら水分を飛ばして炊いていくかが重要になります。
ある程度の固さが必要な練切において、水分量の多いとき(並餡程度のとき)に副材料を加えると、水分が飛ばされている間もずっと副材料が加わった状態になります。
そうなると、あんこの焦げの原因にもなりますし、せっかくのばして細工しやすい「練切」というあんこを炊いているのに、腰が抜けた扱いづらいあんこになってしまいます。

ですので、あんこは並餡の固さを超えて、手につかないくらい水分を飛ばしていきます。
※水分の飛ばし過ぎも乾燥の原因になります。いい按配をつかめるまで何度も炊くことが必要かもしれませんね。

固めに炊いた白あん

ここに倍割求肥とすった丸芋を加えます。

「つなぎ」の二つを加えるとこんな感じ。

つなぎを加えた白あん
つなぎを加えた白あん2

「つなぎ」の力で鍋肌にあんこが伸びてくっついているのがわかりますでしょうか。
ヘラで取った時にも、水分量はなくてもまとまりがあるのがわかります。

最後に乾き止めで水あめを加えて、按配を整えたら完成です。
※水あめも溶ければ水分のように柔らかくなります。その分も考えての按配で炊いていきたいですね。


炊きあがった練切は番重に取って、きれいに拭いたテーブルの上にあけて熱を逃がしていきます。

番重に取った練切
炊きあがった練切の熱を逃がす

熱を逃がしていくうちは上に濡れた布をかけて乾きを抑えます。
乾燥が一番の大敵です。

炊きあがった練切に濡れた布をかける

時折、練切をもみまとめては、小さくちぎって乾きを止めながら熱をなるべく早く逃がしていきます。

熱のある練切をもみまとめる
もみまとめた練切を細かくちぎる

熱が逃げてまとめることができたら本当の完成です。

白練切

練切を美味しく楽しむコツ

練切は、見た目の美しさだけでなく、「お茶を美味しく飲むため」に設計されています。

  1. まずは目で楽しむ: お皿にのったお菓子の色使い、季節感、職人の細かな細工をじっくり眺めてください。
  2. 香りと食感を味わう: 黒文字(菓子楊枝)で切り分けた時の、柔らかな手応え。口に入れた瞬間に、餡の粒子がスッと溶けていく感覚を楽しんでください。
  3. お茶で完成させる: 練切のしっかりとした甘みが口に残っているうちに、温かいお抹茶や煎茶を一口。お菓子の甘みとお茶の苦味が調和する瞬間こそが、和菓子の醍醐味です。

当ブログでは、和菓子とお茶との「ひととき」をご提案しています。
今回の「練切」で作られた上生菓子でお茶を美味しく飲んでみませんか?

そのほか、様々なあんこを炊いていますのでこちらも参考に読んでみてください。

「練切」も使った上生菓子を多数作っています。こちらも参考にどうぞ。


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