上生菓子『イチョウ』

上生菓子イチョウ 上生菓子

こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子で『イチョウ』を作りました。

街を黄金に染める絨毯 上生菓子『イチョウ』が伝える秋の終わりの輝き


秋も終わりに近づき、街路樹や公園の木々が次々と葉を落とし始める頃。そんな中で、ひときわ鮮やかな存在感を放つのが、イチョウの木ですよね。あの扇のような独特の形の葉が一斉に黄金色に染まり、風に舞い散る様子は、まるで金色の雪が降っているようで、本当に見事です。

イチョウは、恐竜時代から姿を変えずに生き残ってきた「生きた化石」とも呼ばれ、非常に生命力が強い木です。その力強さから、街路樹や防火林としても活躍しています。私は、あの鮮やかな色と、力強い生命力に、いつも元気をもらっています。

今回は、そんなイチョウの葉の持つ美しいカーブと、黄金の輝きを、上生菓子の練切で表現してみました! 菓名は、わかりやすくカタカナで『イチョウ』です。

練切で再現する「黄金の輝き」と「厚みのある葉」

この『イチョウ』は、練切を使い千筋板の平打ちと三角ヘラでのへら入れでその特徴的な姿を表現しました。

まず、一番こだわったのは、やはり「色」です。練切を黄色に染めるのですが、イチョウの鮮やかな黄色をイメージしながら染めました。練切を緑色にも染め、ぼかしをして少し緑色が残るイチョウに仕上げました。この色が、まさに秋の終わりに輝くイチョウの葉の色を表現しています。

そして、形は、扇形の葉をふっくらと丸めたような、雫形に近い形に整えました。

  • これは、葉が地面に落ちる直前の、最も肉厚で充実した状態をイメージしています。
  • 表面には、千筋板で筋を入れました。これは、イチョウの葉に走る微細な葉脈を表現しました。

このふっくらとした形と、鮮やかな黄色を見ていると、思わず「美しいイチョウの葉をポケットに忍ばせて持ち帰った」ような、そんな気分になりますね。

上生菓子イチョウ

黄味あんの「コク」が、秋の深みを増す

菓名札にある通り、この『イチョウ』の中身は黄味あんを使いました。

黄味あんの持つまろやかでコクのある甘さは、このイチョウの黄金色と相性が抜群です。一口食べると、豊かな秋の恵みを口いっぱいに感じることができます。この味わいが、イチョウの力強い生命力と、秋の実りの深さを象徴しているように感じられます。

練切の優しい口溶けと、黄味あんのじんわりと広がる甘さが合わさって、秋の静かな喜びを与えてくれる、贅沢な味わいになっています。

季節の力強さをいただく「ひととき」

イチョウが落葉する頃、本格的な冬がやってきます。イチョウの葉が黄金色に輝く時間は、秋の最後のクライマックスであり、厳しい冬に備えるための力を与えてくれるような気がします。

この『イチョウ』をいただくときは、ぜひ、温かいお抹茶や、少し煎った香ばしいほうじ茶など、秋の終わりを感じるお茶と合わせてみてください。この黄金の和菓子を眺めながら、季節の移ろいの力強さと、日々の小さな輝きに感謝する。

皆さんも、この『イチョウ』で、心も体も温まる、力強い「ひととき」を過ごしてくださいね。

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