上生菓子『栗』

上生菓子栗 上生菓子

こんにちは、和菓子屋のあんまです。

秋の味覚の王様がころん 上生菓子『栗』で楽しむホクホクの贅沢


肌寒さが増してきて、温かいものが恋しくなる季節。美味しい秋の味覚の中でも、やっぱり外せないのはですよね! ホクホクとした食感と、素朴なのに深みのある甘さ。栗ご飯に、モンブランに、栗きんとんに…想像するだけで、お腹が鳴ってしまいます(笑)。

今回は、そんな秋の味覚の王様の、愛らしい姿をそのまま上生菓子の練切と羊羹で表現してみました! 銘は、シンプルに『栗』です。

練切と羊羹で出す「皮の艶」と「ざらつき」

この『栗』は、練切の上に羊羹(ようかん)をかけることで、あの栗の皮特有の、艶やかな深い茶色を出しました。この色が、秋の深まりを感じさせてくれます。

形は、山で拾ってきたばかりのような、ころんとした愛らしい栗の実そのもの。握った時に感じる、あの丸みと安定感を表現したかったんです。

そして、一番のこだわりポイントは、栗の下の部分です。

白い新引粉(しんびきこ)を使い、栗の座布団のようにざらっとした質感を表現しました。この上部の「ツルンとした艶」と、下部の「ざらっとした粉感」の対比があることで、和菓子が一気に本物の栗のリアリティを出すことができます。この細かな素材の使い分けが、手作りの楽しさなんですよね。

餡が語る「新栗の風味」

札にある通り、この『栗』の中身は、栗餡(くりあん)を使いました。

秋の味覚を表現するなら、やっぱりの持つ、格別な風味を味わっていただきたい! 栗の練切で、栗餡を包むという、まさに栗づくしの贅沢なお菓子です。

口に運ぶと、まず皮の艶やかな羊羹の食感、そして柔らかい芋の風味のある練切、最後に中餡の栗の風味が広がります。素朴なのに、濃厚で深みのある甘さは、まさに秋の恵みへの感謝の気持ち。
一個食べるだけで、秋の幸せを丸ごと独り占めできるような、そんな満足感があります。

上生菓子栗

豊かさを楽しむ「ひととき」

栗は、昔から日本人の食卓を支えてきた、豊かさの象徴です。

この『栗』をいただくときは、ぜひ、温かいお茶と合わせて、ゆったりとした時間を過ごしてください。特に、秋の夜長にいただく熱いほうじ茶との相性は抜群です。お茶の香ばしさが、栗の甘さを引き立ててくれます。

この愛らしい栗を手のひらに載せて、「ああ、今年も美味しい秋が来たな」としみじみと感じる。皆さんも、この『栗』で、心温まる、贅沢な「ひととき」を過ごしてください。

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