こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子で『松(まつ)』を作りました。
松についても調べましたので一緒にご紹介します。
上生菓子
上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。
今回の『松』は練切(ねりきり)製です。
練切(ねりきり)
練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。
白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。
松について調べてみた!
千年の緑を纏う:『松』という植物の品格
まず、私たちが当たり前のように「めでたい」と感じている松について、少し詳しく紐解いてみましょう。
松は、厳しい冬の寒さの中でも決して葉を落とすことなく、一年中青々とした姿を保っています。
このことから古来より「不老長寿」や「不変の節操」の象徴とされてきました。
1. 神様が宿る木
「まつ」という言葉の由来は、神様が降臨するのを「待つ」、あるいは神霊が木に「祀(まつ)られる」からきているという説があるそうです。お正月に玄関に飾る「門松」も、年神様が迷わず家に来てくださるための目印(依代)なんだそうです。
松は、私たちと神様を繋ぐ神聖な架け橋のような存在なんですね。
2. 強靭なしなやかさ
松は砂地や岩場といった過酷な環境でも根を張り、大きく枝を広げます。その逞しさは、新しい年を力強く歩んでいこうとする私たちの願いにぴったりですね!
また、松の葉は二本が対になって生えていることから、「夫婦睦まじい(相生の松)」という意味も込められています。
3. 日本の美意識の象徴
日本庭園や水墨画、能舞台の背景(鏡板)など、松は常に日本の伝統美の中心にあります。あの独特のうねりを持った枝ぶりと、繊細な針葉の重なりは、眺めているだけで心が整うような不思議な力を持っています。
上生菓子で『松』を作ってみた!
それでは、おめでたいお正月にちなんだ上生菓子、『松』を作っていきたいと思います。
まずは、練切を緑色に着色します。緑は緑でも深い色の緑色で着色します。

緑の練切を元に白い練切を表面にぼかしていきます。
松の上に雪が積もっているさまを表しています。


『松』の中あんは黒あんにします。
緑色の練切のお菓子には中あんを黒にすることが多いかもしれません。

きれいに包めたら、形を整えていきます。
俵型に成形します。


ここからは型を使って、型起こしで松を作ります。
このような松の木型を用意します。

表面にくる細かい模様のほうを下にして、その上に上生を置いていきます。
白くぼかした面を模様側にします。
型の中に入るようにするために形を俵型に成形しました。
また、型から抜くときにきれいにはがれやすくするために、軽く木型を水で濡らしておきます。

木枠を合うように当てはめて、はみ出た部分は手で押しあてます。
木型から大きくはみ出るようならお菓子の分量が悪い、というわけです。

きれいにピッタリ。
コンッと当てて、木枠からお菓子を抜きます。

模様がはっきりと出ましたね!
最後に松のかさをイメージして、黒ゴマを3つ配置します。
配置場所は木型の模様の部分です。

完成です。


🍵 慶びを味わう「ひととき」の演出
今回は上生菓子で『松』を作りました。
木型で作るお菓子なので、割と初心者の方でも手の付けやすい方法かと思います。
きれいに型起こしができるとうれしくなりますね!
この『松』をいただくときは、ぜひ新しい年への希望を胸に、少し贅沢な時間を作ってみてください。
しっかりとした味わいのお菓子なので、お抹茶との相性は言うまでもありません。 お茶を点てる時間が取れない時は、熱い煎茶やほうじ茶でも。お茶の温かさが、練り切りの滑らかな口溶けをより引き立ててくれます。
お正月という特別な節目に、この『松』を囲んで「今年はどんな一年にしようか」と語り合う。そんな時間は、きっと一年を支える大切な心の栄養になるはずです。
今回作った『松』が、皆さんの新しい一年の幕開けに、ステキな「ひととき」を運んでくれることを願っています。
2026年のお正月の上生菓子は全部で12種類作りました。
ほかの上生菓子もぜひご覧になってみてください。
私の作るお菓子が食べられるお店は富山県南砺市にある朝山精華堂というお店になります。
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