こんにちは、和菓子屋のあんまです。
夏の暑さを忘れさせてくれる 上生菓子『緑陰』で楽しむ木漏れ日のひととき
ジリジリと照りつける太陽の熱が苦手な私ですが、夏に欠かせないのが、木々が葉を茂らせてくれる”『緑陰(りょくいん)』”の存在です。木陰に入った瞬間の、あのヒヤッとした涼しさ。都会の中にいても、一瞬で心が安らぐ特別な空間ですよね。
今回は、そんな夏のオアシス、”『緑陰』”をテーマに上生菓子を作ってみました!
練り切りと寒天で表現する「葉の重なり」
今回作った『緑陰』は、練り切りを使った「きんとん」の技法で表現しました。
まず、目指したのは、葉っぱの色が重なり合ってできる、あの複雑で奥行きのある緑です。白あんに少しだけ寒天を混ぜて、それを細かくそぼろ状にしていくんですが、この作業がまた繊細なんです。
このそぼろ状の緑色が、木々の葉がワサワサと茂っている様子を表現しています。一つ一つの粒が、風に揺れる葉っぱみたいでしょ? 光が当たる場所と影になっている場所ができて、本当に木漏れ日を浴びているような立体感が出せたかなと思っています。
隠れたアクセントは「小豆」と「つぶあん」
この『緑陰』の一番のこだわりは、中心の表現なんです。
そぼろ状の緑の練り切りをそっと開いて見ると、中には札にある通り、優しい甘さの「つぶあん」が隠れています。そして、その上にちょこんと乗せた、濃い赤茶色の「大納言小豆」。これは陰を表しています。
緑色のきんとんだけだと、ちょっと単調になってしまうんですが、この濃い色の粒があることで、グッと景色が引き締まります。
そして、つぶあんの素朴で深い甘さが、このお菓子のベース。夏の暑さに疲れた心と体に、優しくエネルギーをチャージしてくれるような、落ち着いた味わいなんです。

夏の暑さを忘れさせる「癒やしのひととき」
自分で作った『緑陰』を前にすると、本当に涼しい木陰にいるような気分になれるから不思議です。
このお菓子をいただくときは、ぜひ、窓を少し開けて、夏の風を感じながら。冷たいお抹茶や、すっきりとした冷やし玉露なんかと合わせてみてください。
和菓子を愛でながら、「あぁ、こんな木陰で昼寝ができたら最高だなぁ」なんて妄想をするのも、また楽しい「ひととき」ですよね。
皆さんも、この『緑陰』で、夏の暑さを忘れて、特別な癒やし時間を楽しんでみてくださいね!