こんにちは、和菓子屋のあんまです。
無病息災を願う秋から冬への架け橋 和菓子『亥の子餅』をいただく夜
秋が深まり、暦の上ではそろそろ冬の気配を感じ始める頃。旧暦の10月、つまり今の暦でいうと大体11月の前半に、日本では古くから「亥の子(いのこ)」という行事があります。これは、亥の月、亥の日、亥の刻に餅を食べたりして、無病息災や子孫繁栄を願う行事なんです。
この「亥の子」の行事に欠かせないのが、『亥の子餅』です!
亥は、十二支でいうとイノシシのこと。イノシシは多産なことから「子孫繁栄」の願いが込められ、また、火伏せの神様としても信仰されてきたため、この時期に亥の子餅を食べると「火事にならず、健康に過ごせる」と言われています。
今回は、そんな伝統的な願いを込めて、この『亥の子餅』を作ってみました!

素朴な見た目に込めた「イノシシの子」のイメージ
この『亥の子餅』は、外郎生地に似た求肥を使い、その愛らしい姿を表現しました。
- 生地の色: 亥の子餅は、地域や和菓子屋さんによって様々なのですが、私は茶色にしました。イノシシの体の色をイメージして着色しました。
- 形: ころんとした楕円形。ウリ坊(イノシシの子)のような、丸くて愛嬌のある形を目指しました。
そして、表面にまぶしているのは、きな粉です。イノシシの毛並みをイメージしているのと、単純に求肥と一緒に食べておいしく感じてもらえるように作っています。
たくさん並べてみると、まるでウリ坊が群れでいるみたいで可愛いですね(笑)
餡と餅のバランスが美味しい「秋の滋味」
この『亥の子餅』の中身は、黒あんを使いました。
求肥生地とあうように。また、きな粉の風味を邪魔しないようにオーソドックスな黒のこしあんでご用意しました。
口に入れると、もっちりとした弾力と、餡のしっとりとした甘さが絶妙に絡み合い、秋の夜長にぴったりの、心温まる味わいになっています。
家族団欒の安泰を願う「ひととき」
亥の子の行事は、昔は「こたつ開き」など、冬支度の始まりを告げる合図でもありました。
この『亥の子餅』をいただくときは、ぜひ、温かい囲炉裏(こたつ)を囲むように、家族や親しい人たちと。熱いほうじ茶や、番茶など、温かさが持続するお茶と合わせてみてください。
このお餅を食べて、これから来る冬を元気に乗り切ろうと願いを込める。皆さんも、この『亥の子餅』で、家族の健康と平穏を願う、心豊かな「ひととき」を過ごしてくださいね。

