こんにちは、和菓子屋のあんまです。
黄金色の俵に込めた感謝 上生菓子『実り』で祝う秋の収穫
秋風が吹き始め、辺りの田んぼが黄金色に輝き出す季節。私たち日本人にとって、秋は何と言っても「収穫の喜び」を感じる特別な時期ですよね。新米の美味しさはもちろん、一年間の苦労が報われる、心温まる季節です。
今回は、そんな豊かな秋の恵みを象徴する「米俵」をモチーフに、上生菓子を作ってみました! 銘は、感謝の気持ちを込めて『実り』です。
練切で再現する「俵」の温もり
この『実り』は、練切でできていますが、形はあえてシンプルでどっしりとした俵型にしました。この形にすることで、古くから大切にされてきた米俵の、豊かさと安定感を表現しました。
色合いは、淡いクリーム色。これは、まさに収穫されたばかりの稲穂や、搗きたてのお米の優しい色をイメージしています。この淡い色が、見る人に安心感を与えられるとうれしいですね。
そして、こだわりのポイントは、俵の「縄目」です。
ヘラを使って、俵を縛る縄のように、上から下へと規則正しい筋を入れていきました。この筋が、ただ丸い形にするよりも、お菓子に手仕事の温かさと、確かな重みを感じさせてくれます。
右上には、ちょこんと金箔をひとひら。これは、米俵の隙間から覗く黄金色の稲穂や、収穫の喜びでキラキラと輝く光の粒を表現しています。
中には感謝の味、『白あん』を包んで
札にある通り、この『実り』の中身は白あんを使いました。
この淡い黄金色の練り切りと、白あんの澄んだ優しい甘さの組み合わせは、まさに秋の味。米俵のような素朴な外見とは裏腹に、口溶けはとっても滑らかで上品です。
白あんの風味が、このお菓子全体に清らかさを与えてくれます。

豊かさを分かち合う「ひととき」
『実り』は、自然の恵みに感謝し、その豊かさを誰かと分かち合うお菓子です。
この『実り』をいただくときは、ぜひ新茶の煎茶や、秋の味覚である栗の香りを思わせるほうじ茶などと合わせてみてください。
収穫の喜びを噛みしめながら、ゆったりとした気持ちでお茶をいただく。この丸くて優しい俵を眺めていると、明日への活力も湧いてくるような気がします。
皆さんも、この『実り』で、秋の豊かな恵みと、心温まる「ひととき」を過ごしてくださいね。

