上生菓子『初蛍』

上生初蛍2 上生菓子

こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子で『初蛍』を作りました。
蛍についても調べましたので一緒にご紹介します。

上生菓子

上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。

今回の『初蛍』は練切(ねりきり)製です。

練切(ねりきり)

練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。
白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。

練切の作り方はこちらをお読みください。


闇夜に浮かぶ、儚い光の物語

蛍。梅雨も見えてきてドヨンとしてきたこの時期に、なんだか明るい話題があるような優しい光で、ステキな日本の風物詩ですよね。
そんな蛍について少し調べてみました。

1.「星の魂」としての蛍

古くから、日本では蛍の光は、亡くなった人の魂や、愛する人を想う情念が形になったものだと信じられてきました。万葉集の歌にも、燃えるような恋心を蛍の光に例えたものがたくさん残っています。夜の暗闇にふっと浮かび、ふっと消えるその儚さが、日本人の心に深く根付く「もののあはれ」という感性と重なるのかもしれません。

2.初蛍の情緒

特に「初蛍」という言葉には、待ちわびていた季節の訪れへの期待が込められています。「今年、最初に出会う蛍はどんな光り方をしているだろう?」そんな想像をするだけで、この先に来るじめじめとした梅雨の夜も、少しだけ特別な時間に変わる気がしませんか。

そういった今年初めてみる蛍を思って今回の上生菓子は「初蛍」という菓名にしてみました。

蛍にちなんだ上生菓子は「蛍火」という菓名でも作っていますのでぜひ読んでみてください。


上生菓子で『初蛍』を作ってみた!

では練切を使って『初蛍』を作っていきます。

まずは練切の主となる色を紫色に着色していきます。
これは闇夜をイメージしていますので、青紫色に近い色にしました。
ただ、紫の色が濃いと食味が失せるのでほどほどの濃さにします。

初蛍の紫の練切

練切は黄緑色にも着色します。
イメージとしては蛍が止まるツユクサの緑色のイメージです。

初蛍の黄緑の練切

中餡は黒餡を使います。

中餡の黒餡

紫の練切に黄緑の練切を合わせてぼかしていきます。
黄緑から紫へ、の方向にぼかしていきます。

初蛍の紫と黄緑の練切をぼかす

中餡を包餡(あんこを包むこと。)します。

初蛍の中餡を包餡する
初蛍の包餡をした状態

練切を黄色に着色します。

初蛍用の黄色の練切

この黄色の練切は蛍の光っている明かりをイメージしたものになります。

千筋板を用意します。

千筋板

黄色の練切を右上に配置して、千筋板に押し付けます。
周りの部分をもみ上げて形を整えます。

初蛍を千筋板に打ち付けてもみあげる

最後に蛍をイメージして、黄色の練切にかぶるように黒ゴマをそっと配置します。

初蛍に黒ゴマを配置する

完成です。

上生初蛍1
上生初蛍2

蛍を愛でる、静かな「ひととき」の時間

今回は上生菓子で『初蛍』を作りました。

黄色の練切は少し発色良い色にしたのですが、紫の練切の上に配置するので、黄色が発色良いときれいに映えて見えると思います。
また、黄緑色の練切がぼかしで入ることによって、蛍が飛ぶ幻想的な雰囲気が作り出せたかと思います。

召し上がる際は抹茶はもちろんのこと、少し渋みのある熱い煎茶もいかがでしょうか。
少し暑さが感じられるようになる時期なので、少し渋みのある熱い煎茶がアクセントに効いてくると思います!
梅雨に入る前のこの時期に、蛍を愛でながら、静かな「ひととき」で一服してみるのも良いかもしれませんね!

別の蛍の上生菓子『蛍火』の記事はこちらから。
また違った作り方をしていますよ。


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