こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子で『万緑』を作りました。
万緑の意味や初夏についても調べましたので一緒にご紹介します。
上生菓子
上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。
今回の『〇〇』は練切(ねりきり)製です。
練切(ねりきり)
練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。
白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。
練切の作り方はこちらをお読みください。
「万緑」という言葉に託した初夏の風景
皆さんは「万緑」という言葉を聞いて、どんな景色を思い浮かべますか?
「万緑」という言葉の意味と初夏の風景を少し深掘ってみます。
1.万緑とは
万緑、これは俳句の世界で夏の季語としても使われる言葉です。
「万緑の中や吾子の歯生え初むる」という中村草田子の有名な句があるようですが、単に「緑がたくさんある」というだけでなく、圧倒されるような生命力や、緑が野山を埋め尽くすほどの勢いを表現しています。
2.初夏のあふれる生命力
初夏のこの時期、木々の緑はただ静かに佇んでいるのではなく、青々とそしていきいきと生えているように感じられます。
太陽の光を浴びた葉が、光合成をしてぐんぐんと成長する力。
この感じが「万緑」といった感じなのだと思います。
3.菓名に込めたおもい
一日ごとに新緑が濃い緑へと移り変わっていく。そんな、一瞬一瞬で表情を変える自然の美しさを表現するように今回のお菓は『万緑』としました。
やや抽象的ですが、季節感が感じられ、雰囲気が伝わるように心がけました。
上生菓子で『万緑』を作ってみた!
では練切を使って『万緑』を作っていきます。
まずは練切を着色します。
緑色に着色するのですが、深い緑色と淡い緑色に着色します。
深い緑は新緑の青々とした、淡い緑はこの芽のイメージでしょうかね。


中餡には黒餡を使用します。

深い緑と淡い緑の練切を合わせます。今回はぼかしたりせずにそのまま使います。

中餡を包餡(あんこを包むこと。)します。


次に絞り布巾を使ってねじっていきます。
万緑の言葉にふさわしく、青々とした葉の生き生きとした動きを絞りで表現します。

ぐーっとねじっていきます。
指の腹を押し込むような形になるので、必然的に長く動きのある上生菓子になります。

最後に紅葉の焼印を焼かずにそのまま押してあとをつけて、

完成です。


初夏の暖かい日差しとともに味わう「ひととき」
今回は上生菓子で『万緑』を作りました。
菓名が抽象的なだけに様々な表現ができますが、このように絞り布巾で動きをつけることで、初夏の雰囲気を作り出すことができました。
中まで押し込み過ぎないで作れますので、中餡が黒餡でも透けて見えずに、どのような中餡でも対応できます。
季節に合った中餡を使っても面白いかもしれませんね!
このような瑞々しい緑には、キリッと冷やした煎茶や、あるいは渋みを抑えたお抹茶がよく合います。
新茶の季節でもあるので、新茶と合わせるのもいいかもしれません。
初夏の暖かい日差しのもと、縁側でステキな「ひととき」を味わうのもいいですね!
この他にも季節に合わせて様々な上生菓子を作っています。
ぜひご覧になってお菓子で季節を楽しんでみてくださいね!
私の作るお菓子が食べられるお店は富山県南砺市にある朝山精華堂というお店になります。
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