【秋の上生菓子】竜胆(りんどう)|練切・黄味あん

上生菓子竜胆 上生菓子

こんにちは、和菓子屋のあんまです。
今回は上生菓子で『竜胆』を作りました。
竜胆についても調べましたので一緒にご紹介します。

上生菓子

上生菓子とは、日本の伝統的な和菓子の一種で、特に茶道や季節の行事で用いられる主菓子です。
上生菓子では季節の花や生き物、風景などから季節を感じられる言葉を具現化して表現したものまで色んな種類の材質(お菓子の種類)で表現します。
その種類一つにとっても様々な表現方法があり、職人の技術がお菓子として見られるのも特徴です。

今回の『竜胆』は練切(ねりきり)製です。

練切(ねりきり)

練切とは、あんこに餅や芋などのつなぎを加えて、のびやすく作業性のあるあんこで、繊細でデザイン性のあるお菓子が作れることが特徴です。
白餡に餅や芋を加えるとより白くあがり、着色をして様々な色を表現できることも特徴です。

練切の作り方はこちらをお読みください。


秋の終わりの清らかな紫色 上生菓子『竜胆』の奥ゆかしい美しさ


だんだんと秋が深まりだすと、野山ではひっそりと竜胆(りんどう)が、その美しい花を咲かせます。静かに凛とした紫色をたたえる竜胆は、秋を彩るヒロインのようですよね。

私は、この竜胆の持つ「奥ゆかしさ」と「清らかさ」が大好きなんです。今回は、そんな秋の静かな美しさを、上生菓子の練切で表現してみました!
菓銘は、もちろん『竜胆(りんどう)』です。

練切で表現する「控えめな五弁」と「蕾の形」

この『竜胆』は、練切を使った**「寄りだし」と「ヘラ切り」の技法で、その姿を表現しました。

まず、花びらの色は、竜胆特有の少し青みがかった薄紫色です。花びらの先には濃紫色を加えてぼかしてあります。この色が、秋の冷たい空気感を表現してくれます。

竜胆の花は、五弁で、上向きに口をすぼめたような形が特徴的ですよね。この和菓子でも、ヘラを使って花びらの間にしっかりと線を入れ、控えめながらも立体的な五弁の花を形作りました。花全体に丸みを持たせることで、今にも開きそうな蕾のような、秘めたる美しさを表現しています。

そして、中心のしべもポイントのひとつです。

裏ごしふるいでこした白い練切を、花の中心にフワッと盛り付けました。これは、花びらの奥でひっそりと輝くしべを表しています。この白い光が、薄紫色の花全体に、清らかな印象を与えてくれます。

黄味あんの「優しさ」が秋の深みを添える

菓名札にある通り、この『竜胆』の中身は黄味あんを使いました。

竜胆は、薬草としても知られる苦味を持った植物ですが、この和菓子では、黄味あんの持つまろやかでコクのある優しい甘さが、その苦味を包み込み、秋の深みのある味わいへと変えてくれます。

黄味あんの素朴な甘さが、見た目の繊細さと相まって、心がホッとするような温かさを運んでくれるんです。

上生菓子竜胆

過ぎゆく季節を愛でる「ひととき」

竜胆の花言葉には、「正義」「誠実」といった意味があり、その姿は日本の侘び寂びを感じさせてくれます。

この『竜胆』をいただくときは、ぜひ、温かいお抹茶や、深煎りのほうじ茶など、秋の香りが濃いお茶と合わせてみてください。この静かな和菓子を眺め、秋の深まりを感じながら、心穏やかな時間を過ごす。

皆さんも、この『竜胆』で、過ぎゆく秋の美しさと、心豊かな「ひととき」を過ごしてくださいね。

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